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農家インタビュー

中村市郎さん一家 × 品質へのこだわり

中村市郎さん・淳子さん・美智恵さん

アップルファームさみずの前身、アップル三水新流会の立ち上げメンバーである中村市郎さん。会の一番の若手として約30年にわたって会計を担当した。現在はもともとの農地に加えて2町ほどを借り受け、3町歩の畑で約20種類のりんごを栽培。妻の美智恵さんと、2015年秋に東京からUターンした長女の淳子さんに加え、年間雇用の労働者も雇って経営をしている。毎年2種類は新品種の栽培も手がける。

「おいしい」と喜んでもらえるやりがいと
家族で支え合いながら働ける安心感

試行錯誤を繰り返して自分なりの技術を確立

「アップルファームさみず」のなかでも随一の収穫量と高い技術を誇る中村市郎さん。年々農地を拡大し、現在は3町を超える畑で「シナノリップ」や「ぐんま名月」など、毎年誕生する新種栽培にも積極的に挑戦しています。そんな中村さんの畑を見渡すと気付くのが、ほかよりも木が上に伸びた樹形であること。こうすることで台風の被害は受けやすくなるものの、反収が上がって霜にも強い高品質のりんごができるのだそうです。

そんな中村さんのこだわりは、木の生育を大切にし、土壌づくりをはじめ良質なりんごが実るための条件と環境を整えること。昔は堆肥を大量に土壌に入れたこともありましたが、りんごが柔らかくなりすぎたり色付きが悪くなったり、実が大きくなりすぎて味の質の低下が見られたことから、現在はアップルファームさみずで実施している土壌調査を行いつつ肥料設計を行っているほか、海藻を含んだペレット型肥料を加える土壌改良に取り組んでいます。これによって木の状態は向上し、りんごの味わいも高まったのだとか。

「りんごは人間よりも正直で、手をかけた反応がそのまま返ってくるから付き合いづらいよね。楽をしようとすると病気になったり、新種ばかりに取り組んでいると手間がかかりすぎてしまったり。今は、毎年出る新しい品種の栽培に挑戦しつつ、古い品種を見直したり、石灰硫黄合剤など昔から環境にやさしいといわれる農薬を吟味しながら、常に新しい経営方針を探っています」 こう明るく話す中村さんの様子からは、常に意欲的にりんご栽培に取り組んでいることが伝わってきます。

「おいしい」というお客さんの喜びがやりがい

そんな中村さんは、アップルファームさみずの立ち上げメンバーのひとりです。これまでの歴史のなかではさまざまな病気や害虫被害に見舞われましたが、一番の思い出は、台風被害により取引先の生協が100万円のお見舞金を集めて寄付してくれたことだとか。

「あの時は涙が出るほどうれしかったね。もちろん、りんごができなくて切なかったけど、気を遣ってくれる生協の組合員さんの気持ちが伝わってきました。ほかにも、どうしても農薬を使わないといけない時は理解をしてくれたりと、お互いにつながりを感じています。昔は儲けることばかり考えていたけど、今は『こんなにおいしいりんごがあるんだ』と、うちのりんごを喜んでくれる人がいることのほうがうれしいよね」こうした経験が中村さんの農業のやりがいになっています。

長女のUターン就農がさらなる力に

そして今、中村さんの農業の大きな後押しになっているのが、昨年から後継者として実家に戻ってきた娘の淳子さんの存在です。

「淳子が入ったことで、ばあさんの面倒や俺の老後も見てもらえるから心強いよね」
そう冗談めかして話す中村さんですが、その笑顔がうれしさを物語っています。対する淳子さんは、以前は「農家なんて絶対にやりたくない」と思っていたそうですが、自分が年を重ねるにつれて親も同じように年を取り、さらに年々拡大している農地にも気付いていたことから、お互いの心配をなくすためにも東京での仕事を辞めて実家に戻ってきました。

「自分が何で育てられたかと思い返せばりんごでしたし、家族全員で仕事ができれば安心感が生まれて、農業を続けていけるのかな、と思ったんです。暑い日の作業は大変ですが、大人になってみると黙々と仕事をするのは楽しいですし、ひとつとして同じ木や実がないというおもしろみもあって、やりがいは出てきましたね」 現在は外で仕事をしてきたからこその視点を生かし、中村さんのりんごをどのように世の中に広めていくかも考えているという淳子さん。SNSを活用した情報発信のほか、昨年は出荷ダンボールのデザインや加工品であるジャムのラベルを一新し、今年は新たにチラシの制作も見据えています。

「今はまだ栽培技術がないので、うちのりんごを多くの人に知ってもらえる取り組みを考えていますが、今後は、父がとどまらずに常に成長しているので、私もそれについていけるように少しずつ教わりながら、品質を向上させるためにしっかりと技術を継承したいですね。そして、うちの農家の名前を知ってもらったうえで、それに恥じないりんごを作れるように成長し続けたいです」 そう話す淳子さんに、中村さんは「消費者のことをいつも大事に考えながらりんごを作ってもらいたい」と期待します。

「俺は儲ける気持ちから農業を始めて、成功はしたけど虚しさもあった。でも今は、お客さんがいる喜びがわかって、百姓をやっていてよかったと改めて思っています」

おすすめ

中村市郎さんおすすめふじ

王道であり玄人好みもする品種ですが、栽培には高度が技術が必要で、奥が深すぎてどこまで極めればいいのかわからない難しさがあります。農家の技術によって、もっとも味に差が出るりんごです。

中村淳子さんおすすめ秋映(あきばえ)

赤黒いアメリカンチェリーのような独特の濃い色味で、甘さだけでなく酸味があり、りんごならではの魅力を感じられる味わいです。固い歯応えも特に気に入っています。

中村美智恵さんおすすめシナノドルチェ

早生種であるつがると中生種の端境に栽培される日本では珍しい品種で、しっかりした酸味とほどよい甘さがあります。インパクトがある濃厚な味わいです。

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